総量規制とは借入総額を制限するルール!対象外になる借入もあわせて紹介
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記事の監修者

金子 賢司 北海道のテレビ番組のコメンテーター、家計の相談・マネーセミナー講師<保有資格>CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。現在は北海道のテレビ番組のコメンテーターや年間毎年約100件の家計の相談・マネーセミナーの講師も務める。
総量規制とは、貸金業者が行う貸付けは「申込者の年収の3分の1を超えてはならない」という規制のことです。
原則、消費者金融などの貸金業者は総量規制が適用されるものの、一部の貸付けについては対象外となります。総量規制に関する不安を解消するためにも本記事では、総量規制の基礎概要、対象外となる具体的な貸付けを解説します。
総量規制とは借入総額を制限するルール

総量規制とは、借入総額を制限する貸金業法のルールのことです。2010年に施行された貸金業法の大幅改正によって本規制が実装されました。
総量規制の具体的な内容としては、貸金業者が行う貸付けは「申込者の年収の3分の1を超えてはならない」というものです。
例えば、年収600万円の人が借り入れを行う場合、200万円までの融資は受けられますが、それ以上は総量規制によって借りられません。また、この方がすでに100万円を借りていた場合は、追加で100万円までしか借りられないということになります。
なお、総量規制は貸金業法の一部であるため、銀行の貸付けには適用されません。あくまで消費者金融など貸金業者の貸付けに限られます。
年収の3分の1ギリギリまで借りられるとは限らない
総量規制は借入総額を制限するだけであるため、必ずしも年収の3分の1まで借りられるわけではありません。借り入れの限度額を定める際には、申込者の返済能力を考慮した上で決定されます。
申込者の支払い能力以上の貸付けをすると、毎月の返済を計画的に行えず、滞納するリスクが伴います。お金を貸す側としては滞納するリスクをできる限り抑えたいと考えているため、返済能力をしっかり調査した上で限度額を調整しています。
返済能力とは
返済能力とは、「月々の返済に充てるお金を継続的に生み出せるかどうか」を測る能力のことです。収入状況や借入状況、家賃負担額などから総合的に判断されます。
担当者による総量規制と消費者金融の関わり方への見解

フタバ株式会社 貸付担当者
私たちのような消費者金融が扱うカードローンは、総量規制の影響を受けます。そのため、年収の3分の1に近い金額を借りている人には、融資をおこなわないケースがほとんどです。年収の3分の1に近い金額を借りている人は、返済に専念してください。
総量規制が施行されたのは多重債務者の多発を防止するため

国が総量規制を施行した目的は、過剰貸付の規制により多重債務者の多発を防止するためです。同時に、返済で苦しむ多重債務者を救済するという目的もあります。
2011年に金融庁が発表したデータによると、総量規制を適用したあとの改善効果は顕著に表れています。規制直後(2007年)から規制後(2011年)までの変化は以下の通りです。
規制後の変化
「サラ金5件以上借入れ」の登録ある者が100万人以上減少した
2003年のピーク時に比べて個人破産がほぼ半減した
多重債務を原因とする自殺者数が2007年から2010年までに約3分の2に減少した
このように、総量規制の施行によって多重債務者の数は減少し、さらには個人破産や自殺者の数さえ少なくなっています。
総量規制の対象外となる主な貸付け

総量規制はすべての貸付けに適用されるわけではなく、対象外となるケースも一部存在します。対象外となる具体的な貸付けは以下をご確認ください。
住宅ローン
不動産購入のための貸付け、いわゆる住宅ローンは総量規制の対象になりません。具体的には、住宅のための土地購入、マンション・戸建ての購入などがあげられます。また、自宅やアパートのリフォームのための貸付けも総量規制の対象外です。
住宅ローンは銀行から融資を受けるのが基本ですが、条件に合わない場合は貸金業者からの借り入れも選択肢に入ります。
自動車ローン
自動車購入時の自動車担保貸付け、いわゆる自動車ローンも総量規制の対象外です。そもそも自動車ローンには、「マイカーローン」と「ディーラーローン」の2種類があります。
マイカーローンは銀行や信用金庫からお金を借りる制度であり、いずれも貸金業者ではないため総量規制の影響を受けません。
一方、ディーラーローンはクレジットカード会社によって運営されていることがほとんどであるため、総量規制の対象であるように思われます。しかし、ディーラーローンは自動車を担保にしたローンなので、総量規制は適用されません。
高額の療養費
高額療養費を支払うための貸付けも総量規制の対象にはなりません。具体的には、事故によって病院に入院した、同居中のご家族が病気になったなどがこのケースに該当します。
おまとめローン

おまとめローンも総量規制の対象外です。おまとめローンとは、複数のローン会社からの借り入れをひとつの借入先にまとめることです。
例えば、A社・B社・C社など複数の貸金業者からお金を借り入れていたとします。そこで新しくD社から融資を受けて、他社分すべての借り入れを精算してD社に一本化することがおまとめローンです。
おまとめローンは多重債務者を救済する目的のプランでもあるため、法令が規定する一定の条件を満たせば総量規制の対象外となります。ただし、おまとめローンと似ている「カードローンの借り換え」は総量規制が適用されるため注意しましょう。
総量規制に関する疑問点
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- 総量規制は1社からの借り入れに対する規制?
すべての借入れに対する規制です。
例えば、年収600万円の人が貸金業者A社から150万円借りていた場合、他の貸金業者からは50万円までしか借り入れできません。A社・B社・C社と複数社に分けたところで、総量規制は借入総額に対して適用されるため意味はありません。 -
- 総量規制の基準となる年収には何が含まれている?
単純な給与のほかにも対象となる収入があります。
総量規制の基準となる年収は会社からもらう給与だけではなく、「年金」や「恩給」のような収入が含まれています。それ以外の収入は貸金業法上、年収には含まれません。例えば、宝くじや競馬などによる一時的な収入です。 -
- 銀行からはいくらまで借りられる?
銀行が自主的に設けている基準にもとづきます。
銀行には「いくらまで借りられる」という指標は存在しません。借入金額は申込者の返済能力によって判断されます。銀行からの借り入れは総量規制が適用されないことから、場合によっては年収の3分の1を超える借り入れができます。しかし、銀行も総量規制と同じような規制ラインを自主的に設けていることが多いため、返済能力があるからといって上限なく借りられるわけではありません。
まとめ
本記事では、総量規制の基礎概要、対象外となる具体的な貸付けを解説しました。
総量規制は借入総額を制限する貸金業法のルールであり、年収の3分の1を超える借り入れは原則行えません。施行された理由は過剰貸付の規制により多重債務者の多発を防止するためであり、同時に返済で苦しむ多重債務者を救済することにあります。
しかし、総量規制は一部のケースでは適用されないため、場合によっては年収の3分の1を超える借り入れも可能です。今後、貸金業者からお金を借り入れする際は、これら総量規制の理解を深めた上で検討しましょう。

記事の編集責任者 小野原 慎也
監修者コメント
金子 賢司 北海道のテレビ番組のコメンテーター、家計の相談・マネーセミナー講師<保有資格>CFP
おまとめローンも総量規制の対象外
カードローンの中には、複数のカードローンの借入先を1つにまとめる、「おまとめローン」という商品もあります。全てのカードローン会社で扱っているわけではありませんが、おまとめローンは総量規制の例外貸付にあたるため、年収の3分の1を超える借入が可能です。借入件数が多くて悩んでいる方は知っておくと良いでしょう。